2024年の中国経済は、まったく振るわなかった
それは中国を長年、最大の貿易相手国としている日本も、中国との貿易額を11月までで3・5%も減らしていることからも分かる(日本→中国が-3.5%、中国→日本が-3.4%、いずれもドル換算、中国税関総署発表)・・・
それは中国という人口14億人の大国を絶対的に率いている習近平主席と約1ヵ月後に就任するドナルド・トランプ米大統領という二人のリーダーによるところが大きい?
発展と安全を標榜(ひょうぼう)する習近平主席が、より発展(改革開放)の方に重きを置き、かつ米中貿易摩擦がさほど激しくならなければ、2025年に中国経済は回復?
逆に習主席が2023年のように安全(社会の引き締め)に力点を置き、かつ米中新冷戦のような対決状態になっていけば、中国経済は↓
2024年の経済成長に関しては、同年3/5、全国人民代表大会(国会)初日に政府工作報告を行った李強首相
「5.0%前後の経済成長を果たす」と
第1四半期(1月~3月)こそ、5.3%と通年目標を超えたものの、第2四半期(4月~6月)が4.7%、第3四半期(7月~9月)が4.6%と失速していった
肌感覚で言えば、中国全土ではデフレがひたひたと進行中であり、第4四半期(10月~12月)の成長率が5%を超えるとは?
通年目標の達成は難しく、おそらく来月17日に国家統計局の康義局長は、4%台の後半のデータ?
12/11~1212まで、経済関係の幹部が一堂に会して2025年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が北京で開かれた
会議を主催した習近平主席が重要講話で強調したのは
・改革開放を引き続き深化させていく
特に9月26日に中央政治局会議が英断した一連の強化策を実行していく
・中国経済の運行は少なからぬ困難と挑戦に直面している
国内の需要が不足し、一部企業の生産と経営は困難になり、人々の就業と増収は圧力を受け、見えないリスクも依然として多い
われわれは困難を直視する
・開放して活性化させる(放得活)ことと
管理して引き締める(管得住)ことの経済秩序を形成していく
・さらに全面的に改革を深化させ、ハイレベルの対外開放を拡大していく
・不動産と株式市場を安定化させ、重点分野のリスクと外部からの打撃を防ぎ、和らげていく
・財政支出を強化し、超長期特別国債の発行を増加させ、地方政府の専項債権の発行と使用を増加させる
・適度に緩和した通貨政策を実施し、適宜、預金準備率を引き下げていく
・財政・通貨・就業・産業・地域・貿易・環境保護・監督管理などの政策と改革開放の措置を協調させ、配合していく
・全力で消費の振興に努め、投資の効率を上げ、国内需要を全方位的に拡大していく
・首発経済(新規のビジネス分野)、氷雪経済(ウインターレジャービジネス)、銀発経済(高齢者向けビジネス)を積極的に発展させる
・AI+(人工知能関連ビジネス)を展開する
民営経済促進法を進める
・ハイレベルの対外開放を拡大し、貿易と外資を安定化させる
・国民の獲得感・幸福感・安全感を増強していく
都市部と農村部の庶民と中小企業の就業計画を支持していく
全体として昨年末に比べて、ずいぶんとまともになった?
昨年末には、習主席が中国経済光明論(中国経済は明るく光り輝いていると喧伝する論調にしろという指示)をぶち上げた
これには世界の中国ウォッチャーたちが、「そう来ますか?」と・・・
それに比べて今年は、いまの問題点をきちんと認識し、それに対処していく決意を示した?
11/8には、5年で10兆元(約210兆円)の緊急財政支出を発表
5/17に発表した5・17楼市新政(4つの不動産改革)に始まり、中国政府は矢継ぎ早に、経済V字回復のための対策を打ち出している
これまでになかった新傾向として、経済分野に関する自由な発言も散見されるようになった
例えば、二人の経済専門家の分析を
東北証券チーフエコノミストの付鵬氏
11/24上海浦東文華東方酒店で行われたHSBC(香港上海銀行=匯豊銀行)主催のプライベート資産上海顧客交流会で
「2024年の年末回顧と2025年の展望――押し寄せるリスク対ソフトランディング」と題した講演を行った
要旨は
「中国経済は2019年の新型コロナウイルスの前から、すでに大問題を引き起こしていた
ここ数年は、状況が改善しないばかりか、さらに悪化している
第2次トランプ政権発足後の貿易戦争のさらなる悪化を含め、中国の少子化、収入の減少、消費の減少などの問題が、さらに加速していくだろう
いま世界の趨勢は右傾化しており、政治と経済は不可分で、その核心問題はイデオロギーだ
トランプが大統領に再度就任したら、周囲は強硬派ばかりで、右傾化は止めることができない
それによって中国は、経済も利率も資産も、2016年の時よりもさらに打撃を受けるのは明白だ
中国の経済問題は、表面的に表れているものよりはるかに深刻なのだ
問題の核心は、有効な消費が不足していることにある
かつ消費能力の低下は短期的な現象ではなく、一つの構造的変化となっている
この難題を解決しようとするなら、内需を振興することが不可欠だ
とりわけ、政府と国民の間、貧者と富者の間、債務とレバレッジ(国が経済活動をコントロールするために用いる手段)の間に、利益の再分配を進めることだ
中国国内ではいつでも、権力・資源・資本に近づけば取り分は増えるし、(自分の)労働力を売れば取り分は減る
経済が縮小を始め、成長速度が芳しくない場合、(収入が)下層にいる人たちが先に苦しみ、最下層の人々はお手上げとなる
中国経済の昨今の最大のチャレンジは、中産階級が急速に縮小していることだ
今年の中国経済が、なぜ3月以降、一直線に下降しているのか?
答えは極めて簡単だ
今年の大きな災厄は、中産階級が欠落しつつあることなのだ
いや、今年だけのことではない
この2年、下層階級は少しずつ『安物買い』になっていき、いまや中産階級も『安物買い』だ
そこのところを注視すべきだ
中産階級の縮小は、マクロ経済全体に最大の打撃を与えているのだ
過去20年、中国の不動産市場の上昇は、主に二つのものの土台の上に成り立ってきた
一つは人口増加で、もう一つはレバレッジの拡大作用だ
現在、若者たちに不動産の買い手になってもらわないといけないのに、彼らの資金は著しく不足している
そのためこのモデルは継続が難しい
来年2025年も、楽観視はできない
利率、為替レート、金融の3方面からの政策調整の余地は、非常に限られている
利率を下げることは可能だ
例えば2%より低くする
為替レートも緩和できる
(ドル/人民元レートが)7.3から7.8に持っていくことだ
金融もさらにもう少し緩和できる
これらは、いま手元にある唯一残ったカードだ。どうやって一気に出せようか……」
このように、中間層の喪失が中国経済に深刻な事態をもたらしているとして、2025年の中国経済についても、悲観的な見方を示した
・・・日本の後追い?
12/3に深圳で行われた投資者会議で、国投証券チーフエコノミストの高善文氏が行ったスピーチ
核心部分は
「縦軸にコロナ前の消費の伸びを取り、横軸に人口の高齢化の度合いを取って、中国の30余りの省級行政区のデータを見ると、次のことが言える
コロナ前:消費における若者の占める割合と地方とは、相関関係がない
コロナ後:若者の比率が多い省ほど消費が伸び悩んでいる
現在は、省の平均年齢が若いほど消費の伸びは緩慢で、平均年齢が高いほど消費の伸びが早いのだ
ここから言える結論は逆説的だが、市場への参入者によって3つの言葉に帰結される
すなわち、『活き活きとした高齢者』、『愛のない人生を送る中年』、『殺伐とした若者』だ
高齢者について言えば、将来を保障してくれる年金は、決められたとおりに支給され、毎年安定して増えている
しかもそれはインフレ率より高く、(不況によって)収入は影響を受けない
人生の黄昏時を、引き続き広場でダンスをして過ごせるのだ
ところが若者は、収入が大幅に減り、かつ今後増える可能性も大幅に減った
仕事が見つからず、見つかっても期待していたものからは遠く、質素倹約にいそしむ日々だ
・・・なんか既視感が・・・
もう一つのデータは、省級行政区の消費状況と、省都の中古マンション価格の伸びだ
コロナ前、消費状況とマンション価格は、ほとんど相関関係がなかった
ところがコロナ後は、マンション価格の下落が激しい地域ほど、消費が落ち込んでいるのだ
どういうことかと言えば、コロナの後、マンションを買う人の多くは若者である
だがその地域の若者が将来を悲観視すれば消費は弱まり、マンションを買おうとも思わなくなる
なぜこんなことになってしまったのか?
失業率を見てみると2022年の2度にわたる(新型コロナウイルス蔓延による)ロックダウンによって失業率はうなぎ上りに上がり、その後、緩やかに下がっていった
体制別に見ると非民営企業(国有企業など)の平均給与は勢いよく上がっていったが、コロナ禍の後は一定の下降線をたどった
それでも消費者の信頼感の低下が示すほど顕著になっているわけではない
都市部の就業人口の増加を見てみると
コロナ禍が爆発した後、極端に下降した
そしてコロナ禍が終息した後、反動で増えたが、それまでの長期的な趨勢(すうせい)のレベルよりは低い
就業人数の総数を見ると累計4700万人の労働力が、正常な仕事にありつけないでいる
この人たちは、一体どこへ行ったのか?
都市部と農村部の就業人数のデータを見ると、農村部の就業人口の累計は、4100万人増えた
これは都市部の就業人数の減少数に近い
一つの可能な解釈は、コロナ後の都市部の起業就業能力が著しく悪化して、大量の就業人口が帰郷し、そのまま残った
彼らが帰郷した後は、都市部の失業者のデータには含まれないが、総就業人口の中には反映されるというわけだ
もう一つの可能性は、40代以上が労働力から離れ、つまり失業したか会社が倒産したりして、ライドシェアの運転手になったり、自宅で個人株主になったり
もしくは自宅でブラブラしたりして、就業や失業のデータから消えたケースだ
いずれにしても全国の残った就業者の量と質を見ると、就業者数が下降しているだけなく、質も低下している
金融業界に限らず、就業の質的悪化は恥ずべき問題だ
中国の統計の中で、最も信頼できるのは価格だ
物を買えば分かるので、各種の操作がしにくい
その他の一部のデータは、『統計でない要素』の妨害を受けやすいので、信頼性が薄いと言える
都市部の就業人口の増え具合とGDPの関係を見ると
GDPが増えれば多くの仕事を産むので、就業人口も増加する
コロナ前は、消費の伸びと経済の伸びはほぼ同じで、消費の伸びがやや大きいくらいだった
コロナ後は消費の伸びが経済の伸びよりもあまりに低い
またコロナ前は経済の伸びと投資の伸びはほぼ同じだった
だがコロナ後は、経済の伸びは投資の伸びに比べてあまりに大きい
これらのすべての統計を合わせると
消費及び投資の伸びは経済成長とある種の関係性があるにもかかわらず
コロナ後の関係は著しくおかしなものになっているのだ
最後にもう一つの面から言いたい
中国の不動産は2020/8以降、大幅な下降の過程に入った
いまやもう3年以上が過ぎた
これが最近の経済悪化の主要な原因の一つとなっていることは、誰もが広く認めるところだ
多くの人は中国は2021年の後に不動産バブルの崩壊を経験したため、工事開始面積や売り上げなどのデータが現在のようになったと思っているだろう
中国の不動産危機の前後3年を比べてみると、その間に経済は大幅に下降し、3年の平均で-7%
真ん中を取っても-3%から-4%、最も少なく取っても-2%だった
だが(統計上の)中国の経済は0.2%落ちただけだったのだ
政府の財政拡張も起こっていない状況下で、経済は目に見えて下降しているわけではなかったのだ
物価、就業、GDPを細かく見て、不動産バブルの崩壊なども考えると
GDPの成長率は毎年、3%上乗せされている
累計で10%分だ
この数値は、都市部の就業人口の流出4700万人と一致する
すべての統計から3%ずつ引くと、どれも整合性がつくのだ
よいニュースはないのか?
9/26の党中央政治局(トップ24)会議で、こうした問題を正視しようということになった
いま直面している問題は成長が鈍化することではなくて、次のような周期による圧力をどう解決していくかだ
1.バブル崩壊後、経済の成長が正常に回復するまでに、平均で9年かかる
2.バブル崩壊後、経済はデフレとなり、政府が救いの手を差し伸べてバブル前のレベルに戻るまでに3年から4年かかる
総じて2025年はおそらく、重要な分岐点となるだろう
2023年と2024年の統計は異常で、曲折の時期にあった
バブルがもたらした不均衡を修正し、政府も積極的な政策を打つことが、株式市場の運行にも安定して予測可能なマクロ環境をもたらすことになるだろう」
高氏は、失業者は4700万人に膨れ上がり、(政府は)GDPなどの統計を3%上乗せしていると
周期的な問題から、やはり2025年の中国経済について、悲観的な見方を示した
両チーフエコノミストとも、ずいぶんと思い切った発言をしたものだと・・・
昨年12月に中央経済工作会議で習近平主席が説いた
中国経済光明論に反する発言内容・・・
そうしたら、やはり二人の発言は、直ちにネット上やSNS上から削除された
12/19になって中国証券業協会
証券業機構チーフエコノミストの自律管理強化の通知を、内部向けに発布
1.チーフエコノミストが一定の期間内に何度も、個人の不当な言行によって風評リスクをもたらす事件を犯したり、著しく不良な影響を与えた場合は、会社は解雇に至る厳重な処置をしなければならない
2. 会社がチーフエコノミストを招聘する場合には、その業績と適正能力、名声、処罰歴などの状況を重視し、不良な風評の立つ人物を招聘してはならない。
3. チーフエコノミストが批准を得ずに、個人的に各種会議、イベントに参加したり、勝手に研究の観点や評論意見を対外的に発表してはならない。
4 .会社はチーフエコノミストの風評リスク管理を強化しなければならない。
5 .チーフエコノミストは業界文化の核心的な価値観の状況を実践し、証券会社の文化構築の実践評価に組み入れられる。
6. 中国証券業協会はチーフエコノミストの自律管理を強化し、チーフエコノミストは中国証券業協会の自律管理を自覚しなければならない
・・・モノ言えば・・・
こうして硬直してくのね
12/21すっかり沈滞している民営企業を活性化させようと
民営経済促進法の法案が、全国人民代表大会常務委員会で審議された
これを受けCCTV(中国中央広播電視総台)
中国経済光明論のキャンペーンを再開
マイクを向けられた中国マクロ経済研究院の畢吉耀研究員なる官製エコノミスト
「これで2025年に、中国経済をさらに発展させる環境が整ってきた
それによってさらに多くの機会が提供されるだろう
民営企業の経営者たちは皆、自分たちの内部のエンジンがさらに起動していくと信じている
そのことは安定した成長と安定した就業に対しても、さらに積極的な作用を発揮していくだろう……」
で
2024/12/12中国政府
一部都市で試験運用してきた個人年金制度を15日から全国に拡大すると発表
中国では公的年金の財政が既に逼迫
企業年金も未発達であることから、個人年金への注目が高まっている
新華社は6月、試験プログラムで6000万以上の口座が開設されたと報じている
・・・やっぱ前にドッカで聞いたことがあるような・・・
中国の昨年末時点の65歳以上の人口は約2億1700万人
高齢化率(全人口のうち65歳以上が占める比率)は15.4%だった
中国は既に高齢社会(高齢化率が14%以上)
中国の高齢化の特徴は、人口の規模が巨大で、そのスピードが速いこと
さらに問題なのは政府の備えは極めて不十分なこと
2024/10/11第5回中国都市・農村高齢者生活実態サンプル調査基礎データ公報(高齢者生活実態公報)を発表
それによれば2021年時点で60歳以上の高齢者のうち夫婦のみが45%、1人暮らしが14%だった
中国ではこれまで多世代での同居が一般的であり、高齢者の世話は家族が行うものとみなされてきた
だが6割近くの高齢者が子供と別居している状況を踏まえると
家族による介護モデルを維持するのは限界に達しつつある
中国の要介護高齢者は4000万人を超えており、介護者の内訳は配偶者が45.5%
子供が47.6%で、施設などでの介護は3.4%に過ぎない
今後施設などでの介護が増加することが見込まれるが、費用負担の高さが足かせとなっている
重度の認知症など要介護度が高い場合のサービス費用は月額7000元(約¥14万7000)を超え、ほとんどの高齢者の費用負担能力を超えている
高齢者生活実態公報の概要
社会保障制度が未整備な中国では、介護の費用負担は子供たちにも重くのしかかる
”一人失能、全家失衡”(一人が要介護などになったら、家族そのものが崩れるという意味)」という言葉があるほどだ
施設にカネを払っても、ろくな介護を受けられない
高齢化、そして介護は誰もが直面する問題であり明日は我が身
だが、このことを最も痛感しているのは一人っ子世代だろう
現在、中国の高齢者の多くは一人っ子の親
1組の夫婦は4人の親と1人の子供という家族構造の下で、介護と子育て、仕事の板挟みとなっている
介護人材の不足も頭の痛い問題
北京師範大学が2019年に発表した調査結果
低賃金や仕事の厳しさなどのせいで若者の間で介護従事者に対する人気は極めて低い
4000万人強の要介護者
に対し、中国の介護職員は32万人強
中国政府の基準(要介護者と介護職員の配分を4対1にする)をまったく満たしていない
これではなけなしのカネを払って施設に入ったとしても、ろくな介護は受けられないだろう
経済の高度成長が終焉しつつある中、高齢化がもたらす社会への重圧はこれまで以上に強まることは間違いない
豊かになる前に高齢化への準備をしてこなかったにもかかわらず
中国政府はあまりに消極的であり無責任?
そして
同委ホームページによると、低空経済発展司は低空経済発展戦略および中長期発展計画の策定・実施、関連政策の提案、重要な問題をめぐる調整などを担当する
・・・名前がなんとも・・・
・・・日本も~
日本の介護業者がチャンスと中国に
でも
日本と中国の、東南アジアとかの介護人材の取り合いに?
・・・習近平主席の重要講話
ナニをいってるの?
相変わらず、どうとでもトれる
お役人様の採りようによってはクビが飛ぶ
だから及び腰
実際にナニを・・・
ソレを見るほかない
今日は~
フクジュソウ/Adonis ramosa秩父紅
花がしっかり開いて
紅が薄い
あと2か月ほどでツボミが・・・
待ち遠しい
2024/12/29
加筆