2022年12月13日火曜日

日本銀行、純借金持ちに?


今後、長期金利が上昇して0.38%を超えれば、含み損が自己資本を超え、日銀は債務超過に
これによる日銀納付金の停止は国民負担を増やす

2022/11/28に発表された4~9月期決算によると
9月末時点の国債の簿価は¥545兆5211億で、時価は¥544兆6462億
差額の¥8749億の含み損が発生
3月末時点では¥4兆3734億の含み益だった
こうなったのは金利が上昇したため
新発10年物国債利回りは、3月末時点では0.22%だったが、9月末には、日銀が上限とする0.25%近くにまで上昇
長期金利が0.13%上がり、0.38%を超えれば債務超過に
2022年9月末の日銀の純資産は¥5.0兆
仮に日銀が国債を時価で計上しているとすれば、国債評価損が¥5兆円を超えれば、債務超過になる

*日銀が今後購入する国債についても将来含み損が発生する可能性があるが、ここでは対象を日銀が現在保有している国債のみに限定してる
2022/12/2日銀の雨宮正佳副総裁
参院予算委員会で、イールドカーブ全体が上方にシフトした場合の評価損を問われ、1%なら¥28.6兆と答えた
したがっ、長期金利が0.175(=5÷28.6)%上昇して0.425%になれば、評価損が¥5兆円になる
では、金利はそこまで上昇するだろうか?
QUICKが10/31に発表した10月のQUICK月次調査<債券>によると
新発10年物国債利回りに関する市場関係者の見通しは、2023/4時点で、平均0.282%だった
0.28%であれば、まだ債務超過にはならない
しかし、そこから0.14%程度上昇すれば債務超過
つまり、2023/4の段階で、債務超過は差し迫った問題になる可能性が強い
以上は評価損
だから国債を実際に売却しないかぎり含み損にとどまる
日銀は決算書で国債を簿価で計上しているので、直接的には問題は生じないように思える

雨宮副総裁は答弁のなかで
保有資産の評価損や資産売却による損失が短期的に生じても
「金融政策の遂行能力が損なわれることはない」
しかし日本銀行が国債を償還時まで持ち続けても、金利が上昇すれば日銀に損失が発生して日銀は債務超過に陥る
中央銀行は資産として国債を保有
通常は負債は銀行券(お札)であって利子の支払いは必要ない
現在の日本では、負債として当座預金が圧倒的に多い
2022/9末では銀行券が¥120兆、当座預金が¥493兆
当座預金は、基礎残高・マクロ加算残高・政策金利残高という3つに区別され
次のような付利が
基礎残高には0.1%、マクロ加算残高には0%、政策金利残高にはマイナス0.1%
金利を引き上げると当座預金に対する付利の支出が増える
他方で既発行国債の利子収入は変わらない
したがって日銀の収支は悪化
どの程度の変化が生じるかは金利がどの程度上昇し、それに応じて付利をどうするかによる
仮に3つの階層のすべてについて金利を1%引き上げれば、日銀の収支が年間¥4.9(=493×0.01)兆悪化する
国債償還額に対応するだけ付利の支払いも減る
では付利の増加は、どの程度の期間続く?
国債の償還期限が来ると政府は借換債を発行する
民間の銀行がこれを購入するが、購入資金は日銀当座預金を取り崩すことによって調達する
これによって、日銀のバランスシートは
まず国債を償還したので、資産にある国債が減少
そして民間銀行が当座預金を取り崩したので、日銀のバランスシートで当座預金残高が、国債償還額だけ減少
国債償還額に対応するだけ、当座預金の残高が減少し、付利の支払いも減る
つまり金利が上がると、当座預金残高×金利上昇分だけ付利支払いが増加するが
それは当座預金に対応する国債が償還されるまで続く
したがって
付利増加額の合計=当座預金残高×金利上昇幅×国債の平均残存期間
ところで、ファイナンス理論によれば、金利が変化した場合の国債の評価額は、次の式で表される
国債評価の下落額=国債残高×金利上昇幅×国債の平均残存期間
(正確にいうと、平均残存期間ではなく、デュレーションだが、両者はほぼ同じものと考えてよい)
当座預金残高と国債残高が等しいとすれば、これら2つの式は同じ
つまり、国債評価額の減少と同額だけ、当座預金の支払いが増加する
国債の評価損は、付利の支払い増に対応している
両者が等しくなるのは偶然ではない
その意味で、評価損は現実の問題を引き起こす

日銀が債務超過に陥れば、日銀納付金はストップ
2021年度の日銀納付金は¥1兆2583億だった
防衛費増額など歳出増加のときに、納付金が約3年間ストップすることの影響は無視できない
政府は、これを補填するための財源を探さなければならない
何が選ばれるにせよ国民負担は増加する
・・・今さかんに云われてる防衛費の財・・・

さらに日銀への信認が揺らげば、為替レートや金利の急変動などのリスクも高まる
この問題にどう対処するかが、来年4月に発足する日銀新体制が取り組むべき喫緊の課題
・・・政府としては
バラマキを辞められるのか?

金融庁審議官、¥152兆の円債保有リスク注視
金融庁は金融機関の有価証券運用について海外金利リスクとともに、国内金利が上昇した際のリスクも注視
モニタリング体制を従来の2チームから3チームに拡充
約¥152兆に上る国債などの保有リスクに関して、一部地方銀行も大手行並みに厳しく検証を進めている
金融庁の屋敷利紀審議官、国債などの円建て債券は
「多くの金融機関が大量に保有しているため、注意して見る必要がある」
「地域銀行を含めた銀行が、一時的にせよ多額の有価証券関係損失の計上を余儀なくされれば、個別金融機関に対する信認低下につながりかねない」

大手行や主要地銀は国内金利の長期低迷を背景に購入を進めた外国債券が海外金利の急上昇で含み損を抱える
一方で超低金利を維持してきた日本銀行による金融政策修正・変更の観測も浮上
銀行が大量に保有する日本国債の金利・価格変動リスクが高まる可能性も
屋敷氏は運用のスキルや中身よりも
「リスクテークに見合った実効的な運用体制やリスク管理体制がしっかりと構築されているか、有価証券運用に対するリスクガバナンスが十分発揮されているか」
などを検証する方針
日銀の金融政策にかかわらずモニタリングしている

日銀は10月の金融システムリポートで、金融機関の円金利リスク量は2002年度以降のピーク水準にあると分析
地域金融機関を中心とした保有債券の平均残存期間(デュレーション)の長期化が要因で
海外金利変動の影響を受け円金利リスクが拡大する可能性にも注意が必要
デュレーションが長くなるほど価格変動リスクは拡大
金利が上昇した場合の損失発生の可能性も高まると
その上で
「金利感応度が大きい金融機関は、よりしっかりと対応していく必要がある」
地銀などによる運用リスク管理の重要性を指摘
仮に国内金利が上昇すれば、銀行にとっては本業の融資業務で貸出金利ざやが拡大
有価証券運用でも一部の債券で利息収入の増加につながるなど、収益面のプラス要素は大きいとも

大手銀行グループについて
「全体で見るとバランスが取れている」
有価証券運用を含む市場関連業務や融資、証券ビジネスなどの事業分散により
「地銀とは異なる」

一方、9月末時点で外債保有に伴う含み損は大手3メガグループが合計で¥4兆弱(3月末は約¥1兆7000億)
SMBC日興証券の佐藤雅彦シニアアナリスト
上場地銀が約¥1兆5000億(3月末は約¥2000億)に拡大
海外金利の上昇で外貨調達のコストが運用利回りを上回る逆ざやも

屋敷氏
逆ざやとなっている債券は
「保有しているだけで経営体力をむしばむ」
含み損を抱えている状態も含め、銀行などの経営陣は
「いったいどのように対応していくつもりなのか、説明できるようにしておく必要がある」

・・・それを日本銀行に言って・・・
外国債券を買った時点と現在、償還時の為替の損益は?
その辺で大きく変わると
まあ、問題を問題とも思わず?
先延ばしにしてきたツケが・・・

今日は~
ススキ

9月の終わり出先で
たまたま日の光で穂が輝いてた

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